事情

地下鉄。本を読んで俯いていた。
やたらと小さくておぼつかない歩幅で歩く人が居るので、少し視線を上げると、スーツの前が一見して小便失禁とわかる様子で濡れている。
失禁さんが、俺の正面に、どっかり腰を下ろし、足を組んで濡れているところを隠す。手に擦り傷の様なものを沢山作って、出血している。ちらりと顔を見ると、結構ええ歳。孫ぐらいは居るかもしれない。
酒気でも帯びているか、顔が少し赤く、目も充血気味。まだ、夕方にもなってませんが、景気の良ろしいことで。