かわせみ修行

11巻。
「虫の音」ここまでで最高の下げ!凄い!平岩弓枝!素晴らしい!

「さあ、おっしゃって下さいまし。どなたが、東吾様に鈴虫の声をお教えしたのか」
「それが……綱坂でね」
「どちらでございますって……」
「鬼女だよ、鬼が鈴虫を教えたんだ」
鈴虫は、かわせみにもいたのかとたちあがりかけた東吾に、るいが涙ぐんでそっぽをむいた。
「存じません……もう……」
「馬鹿だな、るいは……」
「馬鹿でございます。馬鹿の申し上げることですから、東吾様のお耳に入らなかったのでございましょう」
「勘弁しろよ」
ふっと虫の音が聞こえた。
「おい、るい、鈴虫が啼き出したぞ」
「いいえ、あれは、こおろぎでございます」
かわせみの庭に、夕風が吹いて来た。

この回の最初に印象付けたシーンをざらっとおさらいしつつ、今回関わりのあった娘について、東吾がもごもご回想し、いつものパターンでめそめそするるいを、混ぜっ返して誤魔化す東吾の、もうひとつ上手をるいがいくと。
鮮やか!スタイリッシュ!覚えある者は本棚ひっくり返して音読!わからずば買って読むべし!