かわせみ

かわせみ修行

31巻『浮かれ黄蝶』 過渡期か?まだ過渡期なのか?

かわせみ修行

久しぶりのかわせみ。『小判商人』ですが。この巻、どうも特筆すべきことは無し。 どれもええハナシに足りず、ハラハラもせず。 それにしても、皆、順当に歳をとってきてますなぁ。 『文三の恋人』恋人の女が、もう少しだけ濃ければ、もうちょっとぐっとくる…

かわせみ修行

実は、7月末頃に現在の最新刊まで読み終えてしまっている。 「かわせみ」は連載開始当初の捕り物期を経て、形式の模索の中、時間の経過に耐えられず、否応無く大河小説になるという、恐るべき進行。とりあえず、捕り物期と模索期の切れ目を仮決めして、チマ…

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25巻『佐助の牡丹』。 「三日月紋の印籠」で、久しぶりに素晴らしい数行。畝源三郎の妻、千絵の暢気さを、千絵を見かけたるいの内心を、そのまま視点を遊離させて、地の文と東吾の語りで解説する。淀み無く、一気に寄り道させられて、 その、のんびり屋のお…

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23巻〜単行本版23巻『長助の女房』 文庫版と単行本版は数え方が違う様で……。単行本版の上下巻を、文庫化するときに、4冊に分冊したということで、私、文庫版23巻『源太郎の初恋』以降は、単行本版を読んでおります。 すっかり人情ものが定着したかわせみも、…

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22巻。 この巻でも、「清姫おりょう」が最後に視点が移動して終る。作者解説よりはまし。主要人物以外の視点の扱いに関しては、後で再確認。 続行。

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21巻。 めっきり力も油も抜けきって、何やら緊張感に乏しい展開が続いている中で、「蓮の花」の冒頭の大和屋の隠居、治郎八の語りの部分、久しぶりに良い運び。この巻はどのハナシも、そこそこに楽しく読めた。最初の頃の捕り物の謎解きでバタバタするハナシ…

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20巻。 「お吉の茶碗」。 だが、奉行所の人々も、通之進も東吾も知らなかった。 と、作者が解説に出て来て、本当に解説して落とす!強引な背負い投げ食らってしまった感じ。 お吉の手もとに帰って来た茶碗が、実は萬古焼で、下手をしたら、何百両で欲しいと…

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19巻。 ついに花世がふらふら歩き出しました。そしてまた、人の良い登場人物が増えて……。 ここ数巻、物語の時間を、現実の幕末にあわせて、きちんと同期を取ろうとし、そうなると、どうしても赤ん坊を子供に成長させざるを得なくなる。当然、親も歳を取らざ…

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18巻。 ここ暫く、人情話の方向に落ち着きつつある。特筆すべき事無し。 続行。

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17巻。 特になんということもなし。 「矢大臣殺し」の、全員グルは、案の定のうえ、かなりやりすぎ。笑いました。 続行。

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16巻 「煙草屋小町」、いつになく登場人物の内心を利用し、ユーモラス。ラストも、絵がしっかり決まり、冒頭では、ずっと別の事に気を取られていて、全く意に介していなかったるいが、おきまりの焼きもちやき。とにかく、終始絵が鮮やかに出て、良い感じ。 …

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14巻。 心理的に不確定な人物が物語の核になるという形式は、「六阿弥陀道しるべ」で、ようやく、安定感のあるものを見た。 登場人物Aの何らかの行動が引き金になって、登場人物Bが何かアクションを起こす。BがAを殺すハナシならば、当然、Bを探るハナシにな…

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13巻。 「忠三郎転生」ううん。いくら、七重と宗太郎を片付けるためとはいえ、忠三郎は勿体なかったんじゃないかと思うのでした。大きくは、人物の関係を整理する巻。 12巻の模索は、「夕涼みの女」「大川の河童」「麻布の秋」で、ある意味、一時撤退という…

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12巻。 また、形式の模索期か、低調。「岸和田の姫」「息子」は、大名の姫君、似た者同士の職人の親子という典型パズルが上手くいった例。どちらも、上手くはいっているが、積み木を上手く積んでいるだけで、コントラストに欠ける。もっと鮮やかで美しい数行…

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11巻。 「虫の音」ここまでで最高の下げ!凄い!平岩弓枝!素晴らしい! 「さあ、おっしゃって下さいまし。どなたが、東吾様に鈴虫の声をお教えしたのか」 「それが……綱坂でね」 「どちらでございますって……」 「鬼女だよ、鬼が鈴虫を教えたんだ」 鈴虫は、…

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10巻、すっかり安定。飛び道具系のハナシも、もう、ばたばたしません。 というか、真っ向からのオカルト風で、おいおいどうするのよ。と思っていたら、オカルトはオカルトのまま、別の所で類似の事件起こしてハナシを逸らし、当のオカルトはそれらしい伝聞で…

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8巻ぐらいから始まった、捕り物から少しずらしたハナシが、9巻ですっかり定着。非常に良い感じ。るいの悋気、東吾とるいの濡場での転換については、完全にパターンは解体。 濡場に関しては、やりかたひとつでかなり時間を稼げて、東吾やるいの感情も絡められ…

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7巻。最後の長い種明かしが必要になるハナシが苦しいのは、登場人物の配置が、それに向かないため。実はこんな事も……。という源三郎のさらりとした報告以上のものが必要なハナシは、駄目話になる可能性が高い。東吾が語って聞かせるにも、そこに源三郎からの…

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6巻、ええハナシばっかりです。 というか、ええハナシに重点置き過ぎて、ちょっとバタバタしている。 それにしても、パターン化を、前向きに踏み越えはじめました。それまでは単に、静かになって、「お吉も嘉助も近付かな……」くなっていた、るいの部屋から、…

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5巻に突入。東吾の軽口にるいの悋気という転換パターンがあったが、初めて、源三郎にまで矛先が向きかける。東吾とるいのからみによる転換のパターンに比べて、単調になりがちだった所に、目立つバリエーション。しかし、これはアリか? 物語内の時間、少し…

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4巻目に来て、ようやく、おいおい、それはどうも頂けねえなあというものが一本。これまでにも、ギリギリのものはひとつ、ふたつあったけれど、完全に外して、一本道の平板な出来。らしくない。 4巻に一本の割合なら、なかなかと思うべきか……。なにはともあれ…

帰って、寝て、起きて

『御宿かわせみ』続行中。 えー、テーマは、ミニマルと物語。流す場所は流し、盛り上がる場面の絵はきちんと描く事。 いやー。凄いわあ。平岩弓枝。緩急自由自在。もう、上げられたり下げられたりで大騒動。 『渡る世間……』修行のときより格段に楽しいのでし…

荒行開始 平岩弓枝『御宿かわせみ』

家人の伯母さんから宅急便。中身は『百億の昼と千億の夜』『ベルサイユのばら』『風と木の詩』、どれも判の大きなやつ。思えば『百億……』をこの大きさで読むのは初めて。絵は矢張り大きいに越した事はない。以前、『日出処の天子』を文庫版で読み直した時に…